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−便利舎解散編(74話〜77話)−


相変わらず仕事がない新宇宙便利舎。ラナやジラフも会社で内職を始める始末。
そんな中ピートが二人目の子供を妊娠する。二人目の子供が出来た事で、収入の望めない今の生活に不安を抱くピートはトッピーに内緒で夜遅くから内職をしていたのだ。そのことを知ったトッピーは、生まれてくる子供の為にも、何とか仕事を取ろうと営業に奔走するが一向に仕事は取れないのだった。

そんな中、チンドン屋に扮した宣伝活動が、とある会社の目に止まりフルーツの輸送の仕事が舞い込んできた。報酬も十分で、ラナたちは宇宙に出れる事に大喜びだったが、契約に会社へ訪れたトッピーに、実は輸送先の星には小惑星群が移動中で、輸送は不可能であることを告げる依頼人。
このままでは損害が出てしまうので、小惑星群に入ったところで船を脱出してわざと遭難する事で、輸送品の保険金を受け取れるようにしたいと持ちかけるのだった。もちろん報酬は約束どおり支払うし、サジタリウス号にも保険をかけるので、宇宙船の心配も要らないという話に、迷うトッピー。
脳裏をよぎるのは、会社で内職までしているラナ達や、ピートと生まれてくる子供の事。
トッピーは仕事を受ける事を決意する。

地球を出発して目的地の星の空域近くまで来たサジタリウス号。何も知らないラナやジラフは、小惑星群を発見して驚くが、そんな彼らにトッピーは船を脱出するよう指示。しかし、ポッドの発射口が突然の故障で開かなくなり脱出は不可能に。そのまま小惑星群にサジタリウス号は小惑星群に突入してしまう。
次々に迫る小惑星にサジタリウス号も風前の灯。実は初めから、輸送が出来ない事は知っていて、小惑星群に入る前に脱出する予定だった、こんなはずじゃなかったと告白するトッピー。そんなトッピーを「生まれてくる子供の事しか考えていなかった」となじるラナとジラフ。一時は死を覚悟した彼らだったが、トッピーの懸命の操縦により、何とか小惑星群を脱出したのだった。

地球に帰ってきた彼らを待っていたのは依頼会社の倒産とサジタリウス号の保険未加入の知らせだった。もう一緒に仕事は出来ないと新宇宙便利舎を去るラナとジラフ。一人会社に残ったシビップと二人で会社を立て直そうとするトッピーだったが、パイロット要員の求人募集も上手くいかないのだった。
その頃ラナは遊園地の宇宙船の乗り物の担当という職にありついていた。本物の宇宙飛行士がいるということで評判になり、乗り物を増やす事になり、近く係長になる事が決まったのだ。
ジラフは再就職できず、仕方なく新宇宙便利舎をモデルに小説を書き始める。その小説を見て、「本当は新宇宙便利舎に戻りたいんじゃないの?」と言うアン教授に、目に涙を浮かべるジラフだったが、この小説が新人賞候補にノミネート。「会社を辞めてよかった」と大喜びする。
二人の事が気になって、その様子を密かに見てしまったトッピーだったが、気遣うシビップの前で「二人とも本当に良かった」と喜んで見せるのだった。

結局人員補充の出来ないまま次の仕事に出発する事になったトッピー。シビップと二人でサジタリウス号の修理をするが、シビップの修理した個所に問題がある事にトッピーが気付く事は無かった。
翌朝、ピートにお土産に子供の名前を考えて帰ることを約束して出発するトッピーとシビップ。しかし早速シビップの修理個所で燃料漏れが発生。一人ポッドで船外修理に出るトッピーだったが、子供の名前を考えるのに夢中になってしまう。
その時、修理用の溶接機の火が、漏れたオイルに近づきそうになるのをモニターで発見したシビップがトッピーに警告する!シビップの声で我に返ったトッピーは懸命にオイルを避けてポッドを立て直そうとするが、ついに火がオイルに引火。爆発でポッドごと吹き飛ばされてしまうトッピー。
懸命にサジタリウス号に帰還しようとするが、ポッドのエンジンも故障。酸素も漏れ始め、サジタリウス号への帰還をあきらめたトッピーは、薄れ行く意識の中でシビップに「赤ん坊の名前、フェロー。友達、仲間、一人じゃ生きていけない」とピートに伝えてくれるように頼む。
「ラナがいたら、ジラフが一緒だったら!」泣き叫ぶシビップ。しかし無情にもトッピーとの通信も途絶え、ポッドはトッピーを乗せたまま宇宙の彼方へ消え去るのだった。

救助船に救助され、一人地球に帰ってきたシビップ。トッピーの捜索も打ち切られ、出産の為に入院していたピートを見舞いに行くが結局トッピーが遭難した事をを言えず、ラナやジラフにトッピーの捜索を手伝ってくれるように頼みに行く。
しかし、係長に昇進が決まっているラナは捜索を引き受けず、ジラフは小説の新人賞候補になってから、トッピーに裏切られたという思いからノイローゼになってしまっていた。
アン教授が一緒に捜索に行くというが、ジラフの世話の事を思うと、シビップは一人で行くしかないと決心していた。
一方トッピーの事で心が揺れるラナ。ナラはそんなラナの気持ちを察して、「捨てないで取っておいて良かったわ」と、ラナの宇宙服を用意するが、そんなナラに「せっかくの係長昇進も明日の幹部会議に出なきゃ昇進どころかまた失業や、わしらの生活はどうするんや?」とラナ。
「何言ってんのよ今更。子供の7人くらい、あたしがパートしてでも食べさせてやれるわよ。それに、子供たちだって係長になるあんたより、トッピーさんを探しに行くあんたの方が、好きに決まってるじゃない」と、ナラ。

そして出発の当日、一人出発しようとするシビップの前に現れたアン教授とトッピー遭難の知らせを聞いてすっかり正気づいたジラフ。そしてラナも係長の座と職を捨てて駆けつけるのだった。

遭難現場の空域で必死に捜索するラナ達。しかしもうサジタリウス号の燃料はつきかけていた。これ以上の捜索を諦めて涙ながらに地球に帰還しようとする面々。しかしシビップだけは諦めきれずにいた。
その時シビップがピートを見舞いに行った時に出会った元宇宙便利舎の社長が「いて座のボワード星で知り合いがトッピーとばったり会った」と話していたのを思い出し、他の皆をボワード星でトッピーを探すよう説得。サジタリウス号は一路ボワード星へ。

ボワード星に到着した一行を待ち受けていたのは、明日以後、半年空港が閉鎖されるという知らせだった。トッピーを探すのに1日しか時間が無い!懸命に探す一行。
その頃、ボワード星のとある酒場ではイシスと呼ばれるトッピーそっくりの男が飲んだくれて暴れていた。酒を飲んでは暴れ、周りの人間からは疎まれていたが、彼の面倒を見ている牧場のケトックさんという老夫婦と、その夫婦と一緒に暮らしているフローラと言う女性だけが、彼を気遣うのだった。
酒場で、もう帰るように言うバーテンに自分の持っていた立体映像写真を渡してこれで酒をくれと絡むイシス。バーテンがそれを拒むと途端に暴れだし、周りの客に逆に殴り倒されてしまう。
そこへやってきたフローラ。イシスをかばおうとするがそんなフローラに「どうしてそんなに僕の事をかまうんだ!」と怒鳴りつけるイシス。「…あたしたち友達だからよ」というフローラだったが、「嘘だ!僕には友達なんかいない!だからほっといてくれ!!」とはきすてるイシスだった。
飲んだくれて街路を歩くイシス。トッピーを探すラナ達に出会うが、人違いだと言ってラナ達を相手にせず、やってきたフローラと一緒に立ち去ってしまう。

その夜、トッピーを見つけられず、ラナ達は酒場にいた。涙ながらにトッピーのことを諦めようとしていたその時、カウンターの奥の棚に置いてあるピートとリブの立体写真をシピップが発見する。
イシスは(やはり)記憶喪失になっていたトッピーだったのだ。ケトック夫妻の住む牧場に駆けつけるラナ達。しかし、トッピーの姿は無い。自分が誰かすら分からず、酒を飲んだくれる日々にもう嫌気が差し、崖から投身自殺しようとするトッピー。
そこへ駆けつけるラナ達。しかしトッピーは止めるラナ達の手を強引に振り払い崖から海へ飛び降りてしまう。
「死ぬんなら一緒や!」「アン教授ごめんなさい!」トッピーを助けようと同じく海に飛び込むラナ、ジラフ、シビップ。海の中で朦朧とした意識の中、命を捨ててトッピーを助けに来たラナ達の姿を見て記憶を取り戻すトッピー。必死になってトッピーを抱えて泳ぐが力尽きてしまうシビップ。そして…

トッピーが気が付くとそこはサジタリウス号のコクピットだった。「もう二度とはなれへんで!」、「トッピーさんがいやだと言ってもついていきますからね」再開を涙ながら喜び合うトッピー達。「地球が見えて来たわ!」
そしてサジタリウス号は地球に帰還していくのだった…。