小説版ストーリー
小説にはオリジナルストーリーの「因果な商売」と、TV版シビップ身売り編小説化の「ともだち」の2編が収録されています。
「因果な商売」あらすじ地球から10.8光年離れた、エリダヌス座イプシロン第4惑星フィリンガ。地球人の総督と現地人の役人からなる政府を持ち、地球人は特権階級とされている地球の植民星である。
この星に、トイレ修理にやってきた我らが新宇宙便利舎の面々だったが、昼食の弁当を盗まれてしまう。ラナが捕まえた弁当泥棒の正体は現地人の少女、リンであった。
丁度そこに通りがかった政府軍の軍人に、軍の法廷で有罪になれば懲役10年と聞いたトッピー達は、本当は弁当はあげたとリンを庇うのだった。リンの姉、ワーラにお礼にと自宅へ案内されたトッピー達は、そこで政府の搾取による農民の貧困という、地球では比較的豊かとされているフィリンガの実情を目の当たりにする。
同じ地球人なら話を聞いてくれるかもしれないと、総督に会うことにするトッピー達であったが、そこに現れたワーラの恋人、ヤンに「地球人に何が解る」とつきはなされてしまう。トイレ修理の仕事を終えて総督府へやってきたトッピー達。しかし、応対した総督の秘書に陳情は断られてしまう。そこへ現れたのは昼間会った軍人であった。男は政府軍の将軍、チャンと名乗り、農民の貧困はフィリンガ星の観光化に反対した過激派の捏造で、ヤンは解放軍を名乗るごろつきの将軍だと言うのだった。
その話に釈然としないトッピーであったが、自分はこのまま仕事を終えて地球へ帰るだけで、自分にとっては所詮は他人事、家族の為にも早く次の仕事に就かなければと、総督府を後にするのだった。フィリンガの宇宙港に着いたトッピー達。しかし空港で爆破テロが発生。政府軍と戦う解放軍の中に負傷したワーラを見つけたトッピー達は戦火をかいくぐりワーラを救出、サジタリウス号で辛くも宇宙港を脱出するも、解放軍の攻撃を受け、捕虜になってしまう。
トッピー達との会見で、ラナからヤンに会った事を聞いていたチャンは、ヤンの住む村に政府軍を派遣。リンをリーダーに村の子供達が必死に抵抗するが、結局ヤンを誘き出す人質として全員が政府軍に逮捕されてしまう。
解放軍では、ワーラが「あの人たちは悪い人じゃないわ。なにも知らないのよ。この星は豊かな星だと思っているのよ」と、トッピー達の開放を訴えていた。
しかしその時、リン達村人の逮捕の報告が入る。ヤン達解放軍はワーラの訴えも空しく、トッピー達をリン達と人質交換後、即座に攻撃を仕掛けてトッピー達もろとも政府軍を皆殺しにする計画を立てるのだった。
その頃、チャンは戦闘のどさくさに自分が総督府を制圧し、地球人の高官を殺害、同時に解放軍をも殲滅し、全て解放軍の仕業と発表して自分が政府の実権を握ろうと画策していた。地球政府の酷い搾取からフィリンガ人を解放するために戦っているのに、同じフィリンガ人同士で政府軍と解放軍に別れて殺し会う事に嫌気が差していたワーラ。
そしてまた今、自分を助けてしまったばかりに、何も知らずに人質として戦闘に巻き込まれ、恐らく殺されてしまうであろうトッピー達。彼らが総督に会って話をしてくれれば、これ以上の戦いは避けられるかもしれない…。
そう考えたワーラは、リン達人質の事は覚悟の上で命令を無視して護送中のトッピー達を連れだし、総督に直談判しに行く為に首都へ向かう。
一方、人質交換予定地点のポイントCではチャンの命令によって人質の村人が処刑され始め、政府軍と解放軍との戦闘が開始されてしまうのだった。ワーラの案内で首都フィリンガに到着したトッピー達。しかしそこで政府軍の兵士に襲われてしまう。首都はすでにチャンのクーデターによって制圧されており、脱出した総督も脱出艇もろとも破壊されていたのだった。
実の妹と恋人のヤン将軍を捨てる覚悟で、トッピー達を総督に会わそうとしたのに全てが無駄に終わり、トッピー達だけでも無事に逃がそうと決意するワーラ。
「ワーラさん、諦めるのはまだ早いよ。総督が駄目ならチャン将軍に会うんだ」と言うトッピー。ワーラに捕まって連行されたように芝居をうって、チャンに会う事に成功する。総督を排除した今、フィリンガ人同士で争うのを止める様訴えるトッピー。しかしチャンは、自分がフィリンガを治めるのにテロリストに過ぎない危険分子の解放軍は排除する必要があると言う。
政治に搾取は付き物であり、例えばトッピー達の今回の仕事でも、トイレ修理の受注元の地球中央政府にフィリンガはトッピー達への報酬の3倍は支払っているのだと。
「だからといって君たちは仕事を放棄するかね?中央政府に攻め込むかね?」チャンはそう言い放つと、トッピー達を処刑する命令を下すのだった。その頃、ポイントCで戦闘の指揮を執っていたヤンはチャンのクーデター知り、解放軍の一斉蜂起を決意。ポイントCにカルス大尉率いる部隊を残して首都へ進軍を開始していた。
連行され、処刑台に立たされるトッピー達。家族の事を想い嘆くラナやトッピーに、自分の家族の事を思い出して処刑を躊躇う兵士達。その中の一人の兵士が、処刑隊の隊長に自分たちは一体何の為に戦うのか?と尋ねる。
「このフィリンガを守る為だ!」と隊長。それに対して「一体誰から?誰の為に守るの?」と言うワーラ。
この星の人達の為に戦っていると答える隊長。「誰から?」ワーラが更に尋ねる。
それに答えず、解放軍は何の為に戦うのかを尋ねる隊長に、搾取に苦しむ農民の為に農民自身が戦っていると答えるワーラ。隊長は、その為に自分の家族の村も焼かれたと呟くと、「フィリンガを守るということは、農民を守ることだ。それがはっきり解った」と言い、これ以上誰の為に守るのかすら解らないのなら守る必要もない、とトッピー達を解放するのだった。時を同じくして、ヤン率いる解放軍の主力が首都へ侵攻を開始。政府軍との大規模な市街戦が開始される。戦火の中、戦闘の中止を訴えるトッピー達。呆然とするワーラ。その中で、何とか戦闘を中止させようとシビップが歌う!
フィリンガ星の豊かな作物の実りを歌うシビップ。農村出身者がほとんどの解放軍、政府軍の兵士達は次々に銃を落とし始め、戦闘は終結した。「私も農民の出だ。この手には、金や地位やレーザー銃よりも鋤鍬の方が似合いだ」と、ヤンとワーラの手を取るチャン。
時を同じくして、カルス大尉や人質になっていた村人がサジタリウス号に乗って首都に到着。ポイントCでの戦闘も周りのサトウキビ畑に火の手が上がってから誰も撃てなくなり、皆で消火活動をしていたのだった。そして、無事再開を果したリンとワーラ。それを見て涙ぐむトッピー達であった。